山谷も深く、光と闇の織り成す密やかな景観もある小豆島。路地が不規則に走り、物陰になにか潜んでいそうな「迷路のまち」。東西文化の流入の位置にある島だからこその寓話や説話もあるところに、必然的に生まれた妖怪画家・柳生忠平。彼が全国から妖怪の造形物を集めて、「世界一妖怪が生まれる島」としてにぎわいの創出を目論むのが、妖怪造形大賞です。
作者の年齢は、3歳から83歳まで。北は北海道から南は沖縄まで。あらゆる「妖怪造形」が集合しています。第1回(2013年)~第6回(2023年)、その数量は膨れ上がり注目度とともに作品のクオリティもぐんぐん上昇。物語性や社会性、どこかおどけたような喜劇性など、造形の背景もどんどん広がりをみせています。
希代の名コレクターである北原照久氏(横浜ブリキのおもちゃ博物館 館長)、宮脇修一氏(株式会社海洋堂 代表取締役)、美内すずえ氏(漫画家・「ガラスの仮面」ほか)、須田正己氏(作画監督・アニメーター・「北斗の拳」「ガッチャマン」「妖怪ウォッチ」ほか)、米田武志氏(造形師)を審査委員に迎え、第1回~第4回とも秀逸な作品たちが厳選されています。精巧な技術力だけでなく、作品の背景にある物語性や作者の想いもがっちり審査対象に!第6回は新たに羽原信義氏(作画監督・アニメーター)、柳澤大輔氏(面白法人カヤック代表取締役CEO)、清水真理氏(人形作家)、武田充生氏(彫刻家)も審査委員にお迎えしました。
各賞(第1回~第5回)
- 最優秀作品賞
- 賞金 30万円
- 優秀作品賞
- 賞金 10万円
- 審査委員賞
- 各3万円
- 小豆島賞・MeiPAM賞
- 各1万円
- 小豆島ヘルシーランド賞
- オリーブ関連商品
- 童の夢賞(小学校6 年生までの作品対象)
各賞(第6回)
- 最優秀作品賞
- 賞金 30万円
- 優秀作品賞
- 賞金 10万円
- 造形賞
- 賞金 1万円
- ストーリー賞
- 賞金 1万円
- 小豆島ヘルシーランド賞
- オリーブ製品
- MeiPAM賞
- 賞品 図書券
- 審査員特別賞
- 賞金 3万円
審査委員 (敬称略)
審査委員長
北原 照久 株式会社トーイズ代表取締役 横浜ブリキのおもちゃ博物館館長
1948年東京生まれ。ブリキのおもちゃコレクターの第一人者として世界的に知られている。大学時代にスキー留学したヨーロッパで、ものを大切にする人たちの文化に触れ、古い時計や生活骨董、ポスター等の収集を始める。その後、知り合いのデザイナーの家で、インテリアとして飾られていたブリキのおもちゃに出会い、興味を持ち収集を始める。地方の玩具店などに眠っていたブリキのおもちゃを精力的に収集し、マスコミにも知られるようになる。そして、イベントがきっかけで、「多くの人にコレクションを見て楽しんでもらいたい」という思いで、1986年4月、横浜山手に「ブリキのおもちゃ博物館」を開館。また、平成15年11月より5年間、フロリダディズニーワールドにて「Tin Toy Stories Made in Japan」のイベントを開催。河口湖北原ミュージアム”Happy Days”(富士河口湖町)、京橋エドグランB1「北原コレクション タウンミュージアム」、北原コレクションエアポートギャラリー(羽田空港第一ターミナルビル3階)、ザ・ミュージアム松島(宮城県松島市)にてコレクションを常設展示中。
・第24回 「2007年ベストジーニスト」受賞
・2007年度 「横浜文化賞」受賞
・2016年 グッドエイジャー賞受賞
・2016年 ジャパンシガーアワード受賞
・2020 東京オリンピック・パラリンピック マスコット審査会委員
宮脇 修一 株式会社海洋堂 取締役専務
1957年大阪府生まれ。現在のフィギュア文化の立役者。創業者である父・修氏と共に、大阪府の一模型店であった海洋堂を、日本を代表するフィギュアメーカーに育て上げた。同社は美少女、メカから恐竜、仏像に至るまであらゆるフィギュアをリリース。その高い造形力は世界的な評価を受け、「チョコエッグ」の爆発的ヒットで、ユニークな企業として一躍注目を浴びた。著書に『造形集団 海洋堂の発想』(光文社新書)。
羽原 信義 アニメーター・演出・監督 / 株式会社SUNRISE BEYOND 取締役
高校時代にアニメサークルを結成しアニメを自主制作。葦プロダクション出身。1995年5月にプロダクション・アイジーの子会社として下地志直や佐藤徹と共にアニメ制作会社XEBECを設立。演出家以外にも作画監督、キャラクターデザイン、メカニックデザイン、さらには企画やプロデューサーも務めるマルチクリエーター。
・「D・N・ANGEL」(2003年:監督/絵コンテ/演出)
・「蒼穹のファフナー」(2004年:監督/絵コンテ/演出/原画)
・「ゲゲゲの鬼太郎」(2007年:実写映画 絵コンテ)
・「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」(2017年:監督)
・「マシンロボ クロノスの大逆襲」(キャラクターデザイン)
・「ジャンケンマン」(キャラクターデザイン)
米田 武志 造形師
特殊造形イクストル主宰(特殊造形物、フイギュア原型制作)
主な作品:10mウルトラマンショウ・ロボット造形/デイレクション(1990) / ピューローランド・「ゴールの伝説」5mドラゴン・ロボット造形(1991) / 映画「東方見聞録」竜神(メカ/着ぐるみ)制作(1992) / ディノアライブ・恐竜ロボット製作(1993) / 米ディメンショナル・デザイン社玩具原型(1996) / ユニバーサルスタジオジャパン・各キャラクターロボット/セッティング・造形・改修(1999~2004) / 海洋堂・5m大魔神プロップ補修(2002) / 大阪万博・日本館・文楽ロボット復元(2008) / ユニバーサルスタジオシンガポール・ジュラシックパーク・恐竜ロボット造形(2009) / 米TV「アウターリミッツ」玩具・各種原型(2012)
柳澤 大輔 面白法人カヤック 代表取締役CEO
1998年、面白法人カヤック設立。鎌倉に本社を置き、ゲームアプリや広告制作などのコンテンツを数多く発信。SDGsの自分ごと化や関係人口創出に貢献するコミュニティ通貨サービス「まちのコイン」は全国23地域で導入(2022年12月時点)。さまざまなWeb広告賞で審査員をつとめる他、サイコロを振って給与を決める「サイコロ給」など、会社という形の新しい可能性に挑戦中。著書に「鎌倉資本主義」(プレジデント社)、「リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来」(KADOKAWA)、「面白法人カヤック社長日記 2015年-2020年愛蔵版」ほか。まちづくりに興味のある人が集うオンラインサロン主宰。金沢大学 非常勤講師、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授。「デジタル田園都市国家構想実現会議」構成員。
清水 真理 人形作家
熊本県天草出身。多摩美術大学美術学部二部芸術学科映像コース卒業。主に球体関節人形のほか、 実験的な人形オブジェ作品を制作する。2000年、バンド “ムック” のCDジャケットに人形写真が使用され注目される。テレビドラマ 「赤い糸の女」 (東海テレビ) や 「カラマーゾフの兄弟」 (フジテレビ)、 虚飾集団廻天百眼の舞台 「少女椿」 への人形提供、 松岡正剛 プロデュース書店 「松丸本舗」での人形展示など、 従来の創作人形の枠を超えた表現活動を行っている。2019年~2020年「不思議の国のアリス展」にて、人形4体が横浜、福岡、新潟、兵庫等各都市美術館にて巡回展示。
武田 充生 彫刻家・元東京芸術大学講師
山口県下関市出身。東京藝術大学美術学部彫刻科を経て同大学院修士課程彫刻専攻修了、油画壁画研究室研究生。2011年から東京藝術大学石材工房教育研究助手/非常勤講師(2015年3月迄)。第26回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)実制作入選、島根県立石見美術館賞受賞作「跡」を、2017年4月下関市に寄贈しリフレッシュパーク豊浦に恒久設置。今須シャッター浮世絵制作、ときわミュージアム夏の美術室「武田充生のおばけ塾(つくる編・怖がる偏)」、関ヶ原合戦祭りワークショップ、宇部まちなかアート・イン・レジデンス等まちづくりや教育を目的としたワークショップ等の企画・制作・監修多数。2017年「第2回DOJIMA RIVER AWARDS2017」下関市芸術文化振興奨励賞。2019年「ドデカ妖怪造形大賞」グランプリ受賞。2020年門司港アートワーフアートディレクター。2022 第10回あさごアートコンペディション2022 優秀賞受賞 2022 川越市市政施行100周年記念モニュメント入選
柳生 忠平 妖怪画家 / 妖怪美術館館長
小豆島出身。宝塚造形芸術大学卒。叶匠寿庵にて和菓子のパッケージデザインなどに携わり、2005年絵描鬼宣言。現在は香川在住。香川県の保育所にて芸術士としても活動中。2006年小豆島と京都での個展を皮切りに、高松・大阪・京都などで作品を発表。2014年個展「百鬼創造」(南青山)、2015年個展「百鬼楽楽」(六本木)、個展「妖宴」(銀座)など、大都市での作品発表のほか、イタリアの展示会にも作品を出品。2016年は台湾での個展も開催。アートブックフェアなど様々なイベントも参加し、人の妖怪的要素を見出し描く「妖怪風似顏絵」も精力的に行っている。現在、魑魅魍魎を生み出す妖怪製造裝置というものを中心に創作活動中。2019年には、フランスの国際アートセンターにて滞在制作を行い約30点の妖怪画作品を収蔵。